1か月先の天気はわからないのに発表する1か月予報とは

2025年5月9日

1ヶ月先の天気予報ことはあるが・・・

日本の天気予報ではありませんが1ヶ月先の天気予報をしてくれるサービスはあります。

ACCWetherという会社の予報では45日先まで、個別の日の予想を見ることができます。

AccuWeather90日

ACCWetherのiPhoneアプリ もありますし、ACCWetherのandroidアプリもあります。

これは、日本の企業の天気予報ではありません。

日本の天気予報はほとんどが10日先までです。

では、なぜ10日先までなのか。

それは、10日先が予報として意味のある精度を保つ限界だからです。

「天気予報として意味がある」というのは不思議な言葉かもしれませんね。

これは、天気予報の出現率よりも精度があると言い換えることもできます。

天気出現率とは、過去の統計からその日にどのような天気が出現したかという確率です。

季節や地域ごとに違いがあり、最も高い天気は4割から8割ぐらいになります。

例えば、東京であれば冬は晴れの可能性が8割ぐらい・・・とか。

10日より先だと、この天気出現が普通に天気予報をするより当たります。

ということで、10日先より先の天気予報はあまりあてにはできません。

 

では、1か月予報とはなんでしょうか。

ここから先は1ヶ月予報について見てみよう

 

1か月予報とは

あなたは1か月予報って聞いたことはありますか?

最新の天気予報にも、毎週木曜日に発表する1か月予報が載っています。これから1カ月先の天気の平均がどうなるか?を予想します。

そして、平年と比べてどうなるかを予想します。

夏が暑いのは当たり前。いつもの夏より熱いのか?いつもの夏よりは熱くないのか。

また、天気についても、平年通り晴れ(雨)が多いのか少ないのか・・・といった

平年との差を教えてくれます。

なので、「いつもの●月はどういう天気か、どういう気温か」をある程度知っている方が役立てることができます。

天気の出現率であれば全国の天気出現率からも見ることができます。

具体的には、平均気温、降水量、日照時間の3項目があります。基本は、これから先1カ月の平均の予想ではありますが、気温だけは1週目(土曜日~次の金曜曜日まで)、同じく2週目も土曜~金曜まで、3週目は4週目と合わせて3~4週目として発表しています。

1ヶ月予報発表日

そして、予報は「低い確率」「平年並みの確率」「高い確率」の3種類のそれぞれの確率が発表されます。かなり、ぼんやりした予報なので、ぱっと見、(。´・ω・)ん?となります。

 

「おぉ、50%ですか?、ちょっと傾向出してきましたね?」

「40%?もっとメリハリ出していこうぜ!」といった感覚でしょうか。

80%等を目にすると「おぉ!!!!、強気や」

などと思ったりもします。伝わります?

1ヶ月予報を知るには平年値が大切

1ヶ月予報は平年の気温や雨の量との差を予想します。

平年の気温や雨の量を平年値と言います。

平年値は具体的に、1981年から2010年の平均の値です。

「8月平均気温の平均値」といえば、「1981年の8月の平均値気温」から、「2010年の8月の平均気温」まで

30年分の平均気温のことです。

データが40年、50年と沢山あっても利用はしません。

理由は簡単。

あまりにも昔すぎるデータは今とは違う気候だから!

温暖化のような気候変動の影響もあるので、30年分しか使わないんです。

そして、これは10年ごとに更新されます。

次の平均値の更新は2011年ですね。

平均値の次は階級値

1ヶ月予報で発表される、高いとか低いの意味の説明です。

平年値は30年分という話をしましたが、その30年のうち、高い方の10個を「高い」低い方の10個を「低い」

と呼びます。真ん中の10個は平年並みですね。

こうやって、気温や雨の量について、どれぐらいの気温から「高い」と呼ぶか。

どれぐらいの雨の量から「多い」と呼ぶかが決まります。

階級値

1ヶ月予報の気温が高いとか低いというのは、こういう決まりがあって使われています。

1カ月予報ってどうやって作っているの?

基本的には1ヶ月予報も他の天気予報と同じです。

天気図や数値予報資料があります。

しかも、だれでもその資料を見ることができます。

例えば、地球気さんには1ヶ月予報用の天気図が置いてあったりします。

ありがたいですね。

書かれている内容まで読み取れる人は少ないとおもいますが、一例として1ヶ月予報の天気図を載せておきます。

これは、スーパーコンピューターの計算した結果です。

ただの計算結果ではなく、1枚目は1ヶ月の平均、2枚目は1週目の平均という風に、予報期間に応じて平均した天気図となっています。

平均した天気図になっているので、予想の結果も平均した気温や雨の量ということになります。

単純ですね。

1ヶ月予報天気図例

平均する理由は、予報日数が増えてきて先になると精度が落ちる、短い周期の現象の影響を減らすためです。

具体的に言えば、小さな低気圧や気圧の谷の影響を除去するためです。

1ヶ月予報をする人は、この天気図から大まかな特徴をつかんで、スーパーコンピューターの計算を解釈して、予報をすることになります。

1ヶ月予報ぐらい長い予想になると、海面水温の影響も大きくなってきます。

エルニーニョ現象とかラニーニャ現象とか聞いたことはありますか?

エルニーニョ現象の夏は冷夏になりやすい傾向があるとか、ラニーニャ現象の影響があるときは猛暑になりやすいとか

こういった傾向まで含めて予想はされているようです。

また、1ヶ月予報についても、天気図のような大規模な場だけではなく、天気図の状態から現れやすい状態を統計的に計算したガイダンスと呼ばれるAI的な予想の元も作られます。

気象庁の予報官は、ガイダンスや天気図、エルニーニョ現象やラニーニャ現象様々なデータを使て1ヶ月予報を作っています。

1ヶ月予報は奥が深いですね。

 

1カ月予報の発表は地域ごとで県ごとではない

1ヶ月予報地図例

1カ月予報の発表地域は、都道府県別ではありません。

北海道、東北、関東甲信、北陸、東海、近畿、四国、中国、九州北部、九州南部、奄美、沖縄 と12の地域に分けて発表されます。

だいぶ、大雑把ですね。

精度を考えるとこのぐらいの広範囲で同じような結果になるので、全国を12に分けて予想をしているようです。

これだけ大雑把に分けえても、結局は隣の予報区分とほとんど同じだったりもします。

さすがに、東日本と西日本では多少の差がついていることが多いですね。

 

 

1カ月予報の使い道は?

1ヶ月予報は、農業や商業といったビジネスの世界と結び付けが強いといわれています。

卸売業の人であれば、1ヶ月予報を参考に気温の変動を考慮して仕入の量を調整する必要があります。

もちろん、完全に天候が分かっているわけではないので、普段より量を多少増減させる程度でしょうが、その増減の量を決めるのに1ヶ月予報が参考になります。

農業についても同様です。暑くなる、寒くなるといった天候の変動には素早く対応する必要があります。

燃料をどれぐらい購入するかなど備えをするために1ヶ月予報は使われています。

普通に生活している分には、衣替えのタイミングや旅行のための服装選びぐらいしか思いつきませんが、まったく使えない訳ではありません。服の準備は大事ですからね。

1ヶ月予報は当たっているのか

よく、暖冬という予報なのに雪が降った・・・と1ヶ月予報がすぐに外れたと決めつける人を見ます。

そういう気持ちも分かります。

ただ、1ヶ月予報は平均的な気温や雨の量を予想します。

1日や2日、例外的な日があるのは当然のことで平均した場合は結局1ヶ月予報が当たっていたというのはよくあることです。

東京で大雪となっても、1ヶ月予報の平均気温は結局平年より高くなることは多々あります。

そういう勘違いを生みやすいため、外れやすい印象がある1ヶ月予報ですが、概ね、8割程度は当たっていると感じています。

勘違いが起こらないように、丁寧な説明をするのが気象予報士の仕事だとは思いますので、私もこのような場で可能な限り説明に尽力したいと思います。

 

よくある勘違い

個人的に聞かれた事のある勘違いをいくつか紹介します。

Q.1か月予報先の◎月×日の天気もわかるの?

A.わかりません。あくまでも平均です。ACCWetherの天気ではわかりますが、それは参考になりません。

平年の天気と1ヶ月予報を合わせて考えたることがお勧めです。

 

Q.冬に暖冬の予想ってことは雪は少ないの?

A.平均すると温かいってだけで、数日で沢山雪が降るかもしれないので何とも言えないです。特に関東など、気温と雪の関係はあまりないので、平均気温と雪は別の話です。

個別の日の天気を知りたいなら、国内最長で16日天気予報をウェザーマップが発表している

ウェザーマップって聞いたことはありますか?

1ヶ月ではありませんが、その半分までなら個別の日の天気予報をしています。

ウェザーマップはYahoo!天気の元データを提供している会社です。

歴史もある大手企業です。Yahoo!にデータ提供しているぐらですから。

16日天気予報

全国各地の16日先までの天気予報をカレンダー形式で発表しています。

AccuWeatherのように外国産の天気予報よりは信頼できるでしょう。

天気予報は、スーパーコンピューターの計算に様々な統計補正をかけて作る手間のかかる作業です。

手間を惜しまず精度向上の工夫をしている自国の天気予報は、他国のものより精度がいいのは当然のことです。

日本の天気予報は日本のものが一番です。

とはいっても16日も先となるとかなり怪しいです。

外れてもいいから知りたい人用の資料だと思って見てくださいね。