日本国内最高気温、過去最高は41.1℃ですが九州内の過去最高気温は?
日本のこれまでの最高気温は41.1℃だが
日本のこれまでの最高気温は?と検索すると、「静岡県浜松の41.1℃(2020年8月17日)」や「埼玉県熊谷の41.1℃(2018年7月23日)」が表示されるでしょう。
しかし、これについては皆さんいろいろご意見があるようで、例えば気象予報士の森田さんは「日本の最高気温の記録は46.3℃である」という、1923年9月2日、関東大震災の火災の中で測定された気温を紹介したり(この記事は当時の観測に対する精神を褒め称える趣旨と私は受け取りましたが)、yahooニュースの「最高気温の裏側」という記事にあるように、委託観測所の憮養(現在の徳島県鳴門市)で1923年8月6日に観測された42.5℃(委託であり、百葉箱の観測環境が適切でなく、気象官署や現在の記録とは単純に比較はできない)との理由で除外されたものや、同じく百葉箱(東京都足立区江北小学校)の中に置いた自動温湿度記録計で観測された、42.7℃があるなど、様々な理由から「過去最高気温」と簡単に言うな!という意見は散見されます。
まぁ、しかし、世の中には公式記録という言葉があり、気温については国内であれば気象庁のものを使うのが一般的でしょう。
ということで、ここでは、気象庁の観測し認められている最高気温の中に限って話を進めていきます。
「これまでの最高気温」の統計の方法?
最高気温は、1日の中で最も高かった気温となりますが、昔は1時間に1回しか測っていなかったので、最近の記録とは比較できない・・・と言われたりします。確かにその通りなのですが、あくまでも更新記録の中でしか比較できないのでその比較です。
気象庁の国内の歴代最高気温ランキングや 全国最高気温ランキング(全国と都道府県別)によると
順位 | 都道府県 | 地点 | 観測値 | |
---|---|---|---|---|
℃ | 起日 | |||
1 | 静岡県 | 浜松 * | 41.1 | 2020年8月17日 |
〃 | 埼玉県 | 熊谷 * | 41.1 | 2018年7月23日 |
3 | 岐阜県 | 美濃 | 41.0 | 2018年8月8日 |
〃 | 岐阜県 | 金山 | 41.0 | 2018年8月6日 |
〃 | 高知県 | 江川崎 | 41.0 | 2013年8月12日 |
6 | 静岡県 | 天竜 | 40.9 | 2020年8月16日 |
となっています。
この統計は、「各地点の観測史上1位の値」を使ってランキングを作成しています。なので、熊谷では2007年8月16日に40.9℃を観測していますが、ランキングには入っていません。
ここから先、2位や3位といった言葉も出ますが、上のような統計方法をとっていますのでご了承ください。
九州の最高気温は?
さて、本題です。
九州の最高気温は39.9℃で2018年8月13日に日田で観測された記録です。
その日の天気図を載せています。
南や西に熱帯低気圧がありますが、この日の日田は15時頃まで日照もバッチリ観測されており、晴れていたことがわかります。
この39.9℃を観測した8月13日は、日田だけでなく、福岡県の久留米でも39.5℃を観測しています。そして、この39.5℃というのは福岡県の過去最高気温となっています。
日田が盆地で熱がこもりやすいというのはあるのでしょうが、近くの久留米でも同じような気温が観測されたことから、九州の広い範囲で気温が高かったと言えるでしょう。
天気図を見ると、南には熱帯低気圧があり湿った空気が大分県や福岡県に東から入っていることが天気図や観測データから分かります。また、10分ごとの湿度のデータを見てみると、7時には83%あった湿度が、最高気温を観測した14時40分には33%まで低下しています。全部がフェーン現象の影響とは言えないかもしれませんが、多かれ少かれフェーン現象の影響があったと考えるのが自然でしょう。
ちょっと厳密ではない話をしますが・・・晴れると空気は陸地で暖められます。ずーっと陸地を流れてくる空気は、ずーっと日射で暖められ続けます。そりゃあ、そうですよね?
そうすると、長い時間陸地を通ってきた風は暑くなります。
この8月13日の日田の例でも、九州山地を超えて日田まで来た空気が暑かった。同じように、風下側の久留米でも暑かった・・・という当然の話となります。
九州各県の過去最高気温は?
大分と福岡の過去最高気温は話しましたので他県の話をしたいと思います。
宮崎県のこれまでの最高気温は39.7℃
九州内の2番目の最高気温は2020/08/17に西米良村で観測された39.7℃となります。
日照もあり、よく晴れて気温が高かったことが分かります。ちょうど浜松が国内最高の41.1℃を観測した日と同じ日になります。
偶然・・・じゃないですよね?
西日本が広く暖かい空気に覆われていたのでしょう。
宮崎県と言えば、海が近い印象がありますが、西米良村は山間の地域。
役場付近は小さな盆地になっています。
九州では海から離れた盆地になっているところが最高気温が出やすいことがわかりますね。
佐賀県のこれまでの最高気温は39.6℃
九州内の3番目(タイ)の最高気温は1994/7/16に佐賀市で観測された39.6℃となります。
これも、40℃一歩手前の記録ですね。
この日は同じ佐賀県の白石市で39.0℃(佐賀県内2位タイ)の最高気温が観測されていて、佐賀県で最も熱かった日と言えるでしょう。
ちなみに、同じく佐賀の2位は嬉野で39.0℃を2018年8月13日に観測しています。
この8月13日は大分の日田や福岡の久留米で過去最高気温が出た日と同じ日になります。どこかで歴代最高気温が出た日は、他の地点も同じように気温が高くなっているんですね。
天気図は省略しますが、この日も晴れて気温が高くなったことに加えて、四国沖の低気圧から東寄りの風が吹きやすい気圧配置となっています。おそらく、フェーン現象や陸地で暖められた空気の流入が効いていたのでしょう。
熊本県のこれまでの最高気温は39.6℃
九州内の3番目(タイ)の最高気温は2013/8/20に天草市牛深で観測された39.6℃となります。
牛深が最高気温というのは意外でした。
牛深と言えば天草という熊本県の本土から離れた島。
海に囲まれていますので普段は最高気温はそこまで上がりません。
2013/8/20、天草で39.6℃を記録した日の天気図をみると、南東から鹿児島県を通った風が入りやすい気圧配置になっています。
こうしてみると、記録的な最高気温が出る日は、フェーン現象や陸地で暖められた空気が流れ込んで気温が上がったと考えられる日ばかりですね。
浜松の最高気温についても、日本海側からの空気がフェーン現象等で暖められて浜松に流れ込んだと言われていますが、同じような仕組みだったんでしょう。
長崎県のこれまでの最高気温は38.8℃
長崎のこれまでの最高気温は38.8℃で2009年08月7日に南島原市の口之津で記録したものです。3方が海にかこまれている長崎県は最高気温が上がりにくい県です。
長崎県には記録的な最高気温が出た2009年8月7日の天気図を載せています。
ここまでの、天気図と同じですね。陸地を超えて南東風が入りやすい天気図をしています。
鹿児島県のこれまでの最高気温は38.5℃
鹿児島県のこれまでの最高気温は38.5℃で2020年の8月18日14時42分に記録したものです。
この日は鹿児島県で歴代2位タイとなる3地点が37.6℃(さつま柏原、大口、鹿屋)を記録した日でもあります。
鹿児島県の歴代最高気温は4位までがこの2020年8月18日で占められています。
言い換えると、「鹿児島で最も暑かった日」とも言えるでしょう。
この、2020年8月18日の前日、8月17日は浜松で国内最高気温の41.1℃が観測された日です。
西日本が暑い空気に覆われていたことがわかります。
また、鹿児島は浜松と同じで南側が海で北側には山地があります。
これまでの九州の記録的な最高気温と同じように、フェーン現象に加えて陸地で暖められた空気の影響で気温が上がったと考えられます。
鹿児島の場合、東西と南が海のため、フェーン+陸上で暖められた空気が流入するというメカニズムが働くのは北からの風が吹いた時です。
北風は高緯度の気温が冷たい方向からの風となります。途中で暖められて流れ込むとはいえ、元の空気がやや低い気温の風なので、鹿児島では40℃がこれまで観測されていないのではないかと考えられます。
九州は涼しいのか?
最高気温ランキングでは33位まで九州は出てきません。
日田の33.9℃も34位タイです。では、九州は涼しいかというと決してそうではありません。
平均気温や最低気温は当然関東より高いです。
ただ、九州ぐらいの大きさだと海が近く、40℃近い気温はなかなかでません。
40℃を超えるような気温は内陸(盆地)の気温上昇やフェーン現象といった特別な状況でないと発生しないため、九州では観測されていないだけです。まぁ、それに近い現象で39℃台は観測されていますが・・・。
温暖化や都市化が進めばいずれ、九州内でも40℃は観測されるんでしょうね。
また、気象庁の観測網も市町村ごとにあるわけでもありません。内陸の盆地に絞っていくつもアメダスを設置すれば40℃の気温は観測されるでしょうが、そういう目的でもないでしょうからね。
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