雷の仕組みを説明!どうやって雷は発生するのか?

2021年5月16日

ゴロゴロ。雷は急に突然発生して時には大きな被害を発生させます。
夏に発生がおおくなりますが、季節を問わず発生します。

ところで、雷ってどうやって発生するのでしょう。
一つ一つ説明していきましょう。

 

雷の発生する仕組みを説明

雷は突然落ちるため恐ろしいものとされています。

雷は突然落ちるといっても、雲がないと雷は発生しません。

もっと言えば、発達した積雲や積乱雲(入道雲)が無ければ雷は発生しません。

では、積乱雲(入道雲)があれば雷はなるのでしょうか。

いろいろと条件があることが知られています。

順を追って雷の発生の順序を見てみましょう。

積乱雲(積雲)の発生

条件の1つ目が積乱雲の発生です。

雲が上昇流によって流されてきた水や氷の粒ということは知っていますか?中学校の理科の授業などで習いますよね。

いずれ別のページで紹介したいと思いますが例えば別サイトの雲の出来方などが参考になると思います。

①上昇流で空気が上空に流される。

②空気が膨らみ気温が下がる

③飽和水蒸気量が減って空気に含みきれなくなった水蒸気が小さな水や氷となって発生。それが雲!

(②~③の過程を圧力の観点から言えば、気圧が下がり水蒸気圧の方が上回るため水蒸気が水や氷となる)

ここまでが雲の発生の仕組みですね。

で、ここからが雷の発生の仕組みです。

 

氷の粒がぶつかり合うと、電気が+と-に分かれます。電荷分離ですね。静電気の実験で、下敷きをこすって+に分ける実験はだれでもしたことがあるかと思います。

電気は軽い(小さい)氷で重い(大きい)氷で+と-が分かれます。

下の図では、重い氷を+、軽い氷を-としています。

 

重たい氷と軽い氷で上下に分かれる

氷の粒がぶつかり合い、重い氷が+、軽い氷が-と分かれた後は、それぞれの氷の粒が上下に段々と分かれていきます。

重い氷の方が下に行くのはイメージがわきやすいですよね?

上昇流は強い場合、氷の粒が多少大きくても地面までは届かず雲の底(雲底)付近にとどまります。500m~2㎞付近が雲の底となる事が一般的です。逆に、雲の上は10㎞を超えることも度々です。夏は特に雲が高くなりやすくなります。背の高い入道雲、見たことはありますよね?

 

地面にも電気が集まり始める

雲の底に電気(図では+の電気)が集まり始めると、地面付近には逆の電気(図では-の電気)が集まり始めます。+と-はお互いに引き寄せる性質があります。金属など電気を通しやすい物であれば、そのまま電気が流れて電流となり+と-の電気はくっつくのですが、そうはいきません。

雲と地面の間には空気しかありません。空気は電気を流しにくいためかなりの電圧がかかるまでは+の電圧は雲の底、-の電気は地面となり限界となる電圧まで電気は通しません。

 

 

限界に達すると雷が発生

いくら空気が電気を通しにくいといっても限界はあります。

電気がたまって空気の限界を突破(1億ボルトとも言われています)すると電気が流れます。この電流は10万アンペア・・・とんでもない量の電流ですね。

雷は+と-の間に流れるものです。

図を見ても分かると思いますが、地面だけではなく、雲の上の方にも-の電気はあります。雲の底にある+の電気との間で電気が流れることもあります。

地面との間の雷は対地雷、雲の間であれば雲間放電となります。

 

同じような説明が

関西電力気象庁の雷とは? にも掲載されています。

 

雷の発生する条件

雷の発生する仕組みが分かれば雷の発生する条件もわかると思います。

ここまで説明した条件がそろわなければ、雷は発生しません。

では、一つ一つ条件を見てみましょう。

上昇流が無ければ雷は発生しない

当然のことですが、雲がないと雷は発生しません

雲が発生するためには上昇流が必要です。雷を発生させるほどの発達した積乱雲となれば強い上昇流が必要です。

逆に下降流が発生していれば雷どころか雲もないということです。

発達した積乱雲があり、氷の粒があり、初めて雷は発生します。

氷の粒が発生するほど冷たい雲が必要

熱帯域の雲には暖かい雨を降らす雲と呼ばれる、水の粒だけの雲があります。もちろん、温水の雨ではありません。もとの雲が水だと言うことです。

そういった氷の粒が無い雲では雷は発生しません。

更に観測結果から経験則的に言われていることですが、雲が発達し雲の頂点が氷点下15度程度まで発達しなければ雷はなかなか発生しないようです。

夏場であれば10㎞=10000mまで発達するような雲しか雷が鳴らないのは、大気の下の方は基本が高く氷の粒が発生しないことが理由です。

逆に、冬場など上空に冷たい空気、例えば約3000m付近に-15度の寒気が入ってくると、3000mまでしか発達しない背の低い雲でも雷が発生します。東北地方で「雷3日」と呼ばれるように、冬に数日間雷がなることがありますが、1500m~3000m付近に冷たい空気が入ってくると、その空気が抜けて暖かい空気が入ってくるまで雷が鳴り続けることが原因です。

雷が避雷針に落ちる仕組み

ここまで理解できていたら、避雷針に雷が落ちる理由も分かるでしょう。

避雷針のように、尖っているものの方が、地面より雲に少しだけ近くなります。

電子の引き合う力は近いほど強くなります。

遠くの地面より近くの避雷針の方が電子どうしの引き合う力が強く雷も落ちるというわけです

金属の方が電子を通しやすく落ちやすくはありますが、電気が雲の底の帯電した電子と近くなるという意味では、雷針出なくても、ビルや樹木も似たような働きをします。

気象庁の雷の被害によると樹木や家屋への落雷が多く報告されたているのが雷が尖った高い所にあるものに落ちやすい証拠とも言えます。

 

雷の発生を知る方法

雷は電気の塊です。

その電気のをとらえて、何処で雷が発生しているかを知らせるサービスが最近では始まっています。

例えば気象庁の雷ナウキャストでは日本中の雷を観測して5分ごとに地図表示してくれます。やや使い方が複雑(雷専用ではないので)なので私のサイトでも同様の情報を「雷の観測データ」や「雷の予報」でお知らせしています。また、世界中の雷を観測しているblitzortung.orgや電力会社の雷情報もあります。

詳しくは雷はどこに落ちた?昨日や今日落ちた落雷を調べる3つの方法

で紹介しています。

また、登山などで使用するための雷レーダーも最近では商品として扱われています。

 

雷の音はどこまで聞こえるの?

雷は電気の塊で、ゴロゴロと音がすることは先ほど迄の内容で分かると思いますが、音については紹介していませんでした。

雷の音の正体、これは電気が空気を切り裂く音です。

言われなくてもおおよそ想像はついていたかもしれませんね。

では、どれほど遠くまで聞こえるか・・・という話はあまり有名ではありません。

もちろん、周辺が静かかうるさいか・・・で状況は変わってきますが、静かな場合でも20㎞ほどしか聞こえないといわれています。

逆に雷の光は、暗いところでは100㎞以上遠くからでも観測できます。高いビルの上からだと200~300㎞遠くの雷も分かります。なので、当然、雷の光を見る機会のほうが、雷の音を聞く機会より多くなってきます。もちろん、注意深く観察して気を付けていたら・・・の話ですが。