線状降水帯とは?その被害と予想についてわかりやすく説明

2021年8月27日

線状降水帯とは?

梅雨など被害の発生する大雨で最近よく聞く言葉、線状降水帯。

「大雨災害の原因は線状降水帯でした」

「被害をもたらせた大雨は線状降水帯でした」

という話もよく聞きます。

その線状降水帯とはなんでしょう?

線状降水帯は簡単に言えば大規模な線状の降水帯

線状降水帯は、とても簡単に行ってしまえば「大規模な線状の降水帯」と言えます。

下の図が、ちょうど、気象庁が線状降水帯として情報を発表した雨雲です。

赤の楕円は気象庁HPの中で「雨雲の動き」や「今後の雨」のページで自動的に描画されているものです。

私が描いた訳ではなく、線状降水帯があると(気象庁でそう判断されると)描画されるものです。

右下の凡例にも「線状降水帯」の注釈があるのでわかると思います。

線状降水のレーダー画像_2021年8月12日の例

この線状降水帯と判定されたものが「線状降水帯」となります。

線状になってますよね?

降水=雨です。

なので、この一本の線状になった雨雲の領域が線状降水帯です。

ちなみに、この日、この時の前線は対馬海峡付近です。

アメダスの風向きで確認してもやはり

気象庁の解析が確かであることが(ちょっと気象に詳しければ)わかります。

線状降水帯は、線状の降水帯であり、前線とは別であることも分かります。

線状降水帯は前線の南側の暖かく湿った空気の多い領域に発生しやすいという研究もあります。

前線の位置を確認

もう少し詳しく見てみましょう。

気象庁の線状降水帯の定義

線状降水帯の厳密な定義は存在していません。

ですが、ある程度公の定義はあります。

それが書かれているのが「気象庁の予報用語の線状降水帯」です。

線状降水帯は以前は「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域。」と定義されていました。

ですが、これだけでは、やや曖昧であるため、細かな、客観的に判断可能な指標を2021年に設けました。

客観的に判断するために加えられた4つの条件は以下のものです。

  1. 今後の雨」において3時間で100mm以上の分布域の面積が500km2以上
  2. 形状が線状(1の領域の長・短比2:5以上)
  3. 多い所で3時間で150mm以上
  4. 土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)において土砂災害警戒情報の基準を実況で超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)又は洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)において警報基準を大きく超過した基準を実況で超過

わかりやすいように1~3はやや表現を変えています。

少し補足します。

1の条件は、線状降水帯のエリアの定義です。

「ここからここを線状降水帯としましょう!」

という話です。

2は形の定義です。

線状であるかどうか・・・という部分の定義です。

3は降水量の定義です。3時間で150㎜という足切り条件となります。

4は、災害との対応となります。

土砂災害の発生と対応のよい土壌雨量指数や

河川の水位と対応のよい流域雨量指数がどれほど危険な値となっているかをしめしています。

この条件は、学術的な部分ではありません。

防災情報としての効果を考えて追加している条件となります。

なので、気象学会等での線状降水帯の定義は1~3のとなります(閾値は別ですが)。

気象学会で使われた線状降水帯の定義

2015年に気象学会で発表された加藤輝之さん(と言っても気象研究所の方でただの学会員ではありませんが)によれば

1.幅が20~50㎞ 長さが50~200㎞

2.数時間同じ場所に留まる

という定義で、実際に調査する際は3時間130㎜以上という条件で客観的に抽出しています。

この論文でも、「線状降水帯に明確な客観的な定義はなく、この調査における条件」としてることから

線状降水帯の定量的な定義はない事が分かります。

学会ではよくあることですが、加藤先生のような有名な先生が論文で使用すると

その後も、この線状降水帯の定義を引用する人が多く現れてくることは大いに考えられます。

有力な定義の一つと現状は考えて問題ないでしょう。

 

線状降水帯の英語について

気象研究所の加藤さんの線状降水帯に関する発表によると

線状降水帯という英語は存在しないようです。

あえて英訳すると“Senjo-Kousuitai”だそうです。

線状降水帯の被害

線状降水帯という言葉が使われるようになったのは比較的最近です。

気象学会の「線状降水帯」という論文によると、2014年8月の広島の土砂災害以降に頻繁に使用されています。

それ以前も、大小様々記憶にありますが、公式に「線状降水帯」と呼ばれているのは2014年8月以降のものです。

そして、近年の豪雨災害は、台風を除けばほとんどが線状降水帯によるものです。

2014年8月の広島の豪雨に始まり記憶に新しい所では令和2年7月豪雨(熊本県の豪雨)も線状降水帯によるものです。

日本の豪雨災害のほとんどとなれば、被害合計は尋常な規模ではありません。

 

線状降水帯の予想

2021年現在、線状降水帯を予想するための試みは様々行われています。

防災科学研究所など、線状降水帯を予想する取り組みは行われていますが、確度の高い予想はまだまだこれからとなっています。

幸い、「線状降水帯の発生しやすい可能性」ぐらいは把握出来ますので

我々にできるのは日ごろの備えと、情報を聞いた時の対策となります。

日ごろから気象情報を積極的に入手しましょう!