梅雨とは?仕組みと梅雨入り、梅雨明け、梅雨期間の統計をまとめてみました!

2022年7月26日

梅雨、雨の多い季節。

なんとなく知ってますよね?

では、なんで雨が多いのでしょう?

いつ頃が梅雨入りでいつ頃が梅雨明け?

1つ1つ見てみよう。

梅雨とは?

梅雨とは、気象庁の予報用語

「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間」となっています。

これを正確に解釈しましょう。

春は、予報用語で3月から5月。24節季では立春(2月4日ごろ)から立夏(5月5日や6日ごろ)。

夏は、予報用語で6月から8月。24節季では立夏(5月5日や6日ごろ)から立秋(8月7日ごろ)。

梅雨入り梅雨明けでは24節季が重視されています。立秋までに梅雨が明けない場合は梅雨明け無しとなります。そのため、1993年(災害の多い年でした)の九州北部と九州南部の梅雨明けは不明という記録があります。1993年は秋(8月7日ごろの立秋)になっても雨が多かったという意味です。

梅雨入りについても、四国の1963年など梅雨入り不明という記録があります。晩春のころには梅雨だった・・・という意味です。

梅雨の雨は、梅雨前線による雨が原因の主です。

雨や曇りの日が多く現れる」と定義されているので、雨の原因はなんでもいいんです。

前線付近の低気圧でも、前線に吹き込む湿った空気が原因でもなんでも雨は雨。

雨まで至らず曇りの日が多くても、梅雨となります。

 

下の図は梅雨の典型的な天気図です。

気象庁の総観気象学テキスト基本編オホーツク海高気圧からの北からの風(冷たい風)と太平洋高気圧周辺の暖かく湿った空気の間にできるのが梅雨前線とされています。

基本的にはそうですが、沖縄・奄美から西日本(特に九州・四国・中国地方)が梅雨入りする頃はすこし成因が違います。

オホーツク海高気圧より、「中国大陸(ユーラシア大陸)に中心をもつ高気圧」からの乾いた相対的に冷たい空気と「南シナ海(台湾の西、中国の南)」からの暖かく湿った空気の間にできる前線による雨が主です。

関東地方付近でみれば、オホーツク海高気圧と太平洋高気圧の間にできるのが梅雨前線とみることはできますが。

大陸の高気圧にいて、高度7㎞以上(300hPa以上)になると別の高気圧が顔を出します。

チベット高気圧です。チベットで暖められた空気が上空で明瞭になります。

この高気圧が明瞭となると梅雨明けの頃です。

梅雨については、中国ではMeiyu(梅雨)と呼ばれます。

韓国ではChangma(장마)と国ごとに名前がついています。

梅雨入り

通常、梅雨入りは南から順番にしていきます。

下の図は沖縄が梅雨入りした頃の天気図です。

中国にある高気圧と、東シナ海から九州付近の高気圧の勢力が強いですね。

また、太平洋高気圧もそれほど張り出しは強くありません。

この、高気圧の間の風が集まっている所が前線となります。

太平洋高気圧はこの後8月にかけて(長い目で見れば)だんだん強くなっていきます。
そうすると、梅雨前線もだんだんと北に北上します。

もちろん、一方通行ではなく、太平洋高気圧も強弱を繰り返します。

平均すると、徐々に勢力を強めるという意味です。

そのため、太平洋高気圧からの南風に押されて梅雨前線は北へ北へと北上していきます。

せっかくなので、少し深い、専門性のある話をします。

上空500hPaの天気図を載せました。

上にある、沖縄の梅雨入りのころの天気図と同じです。

天気図の見方(500hPa)で紹介していますが、およそ5km~6㎞上空の天気図です。

太線は、500hPaとなる高度をしめしています。

数字が大きいほど(南ほど)高気圧ですね。

一番南の太線内が太平洋高気圧の勢力圏内です。

また、その北にはヒマラヤ山脈の南側をまわるジェット気流も(慣れたら)見ることができます。

図には2本しか書いていませんが、真ん中にもう一つジェット気流がありそうです。

脱線してしまうので割愛します。

その、ジェット気流の南、太平洋高気圧の北。

挟まれている領域(特に、風が南西で高度線が右上がりの所)は前線が発生しやすくなります。

前線となるかは500hPaの天気図だけでは判断しきれません。

しかし、この例だと条件を満たした所に梅雨前線がありますね。

この、上空の太平洋高気圧の位置を見るだけでも、だいたい前線の位置がわかります。

前線が南に下がる時は、この500hPaの5880mの太線も南に下がっているはずです。

前線が来たに上がる時は、この500hPaの5880mの太線は北に上がります。

毎日見ていれば、太平洋高気圧と梅雨前線が連動していることがよく分かります。

梅雨明け

こちらは、西日本から関東が梅雨明けするころの天気図です。

南にあるHは高気圧です。

もっと言えば太平洋高気圧です。

太平洋高気圧が日本のすぐ南まで張り出していますね。

この高気圧に押されて梅雨前線が北に北上して梅雨が明けます。

太平洋高気圧が勢力を増して北上する理由は、地軸の傾きの影響が原因です。

夏になると、赤道低圧帯が北上します。

そうすると対応する中緯度高圧帯も北上する。

太平洋高気圧は中緯度高圧帯の一部なので北上は当然ですね。

やや脱線していたので次の話に行きましょう。

梅雨の大雨の原因

梅雨は曇りや雨が多い季節です。

梅雨前半はしとしとした雨が中心です。

梅雨前線がまだ、南にあるとき、その北はやや涼しい空気に覆われます。

涼しい空気=水分が少ない空気です。

雨の量は少なくなります。

後半は梅雨前線の南側になる事が多くなります。

前線の南側はジメジメします。

ジメジメする=水分が多い。

雨の量も多くなってきます。

大雨ですね。

もう少し、詳しく見てみましょう。

気象庁報報道発表資料からの抜粋です。

前線の北側には「オホーツク海高気圧」や「大陸の高気圧」、「南側には太平洋高気圧」。

先ほど紹介した通りですね。

しかし、前線のすぐ南側に湿舌と呼ばれるものがあります。

中国の方から、狭い範囲に湿った空気が入ってくることがあります。

湿舌と呼ばれるものです。

有名な加藤先生の湿舌に関する記事によるとこの湿舌は3㎞付近の高度まである湿った空気の層です。

しかし、これが大雨の原因ではありません。

どちらかと「雨雲が出来た!」という結果です。

湿舌=雨雲が発達した領域です。

そして、その湿舌の更に南側には湿った空気が流れ込んでいます。

厚さにして1㎞。

地上から1㎞付近までの比較的層としては薄い湿った空気。

これ南から太平洋高気圧を周って湿舌の領域に流れ込みます。

その、湿った空気によって湿舌と呼ばれる厚さ3㎞の湿った領域が出来上がります。

湿舌と呼ばれる領域は、梅雨前線の南側に位置して大雨を度々もたらせます。

ちなみに、名前は天気図で見ると舌のような形をした湿った領域だから。

そのままですね。

舌にしてはちょっと長いのでキリンの舌ぐらいでしょうか^^;

梅雨の統計

梅雨については様々な統計があります。

地域ごとにまとめてみました。

梅雨は通常南から入るので、順番も南からとしています。

2021年5月19日に平行値が更新されましたのでその時点の統計です。

沖縄の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した沖縄の梅雨に関するデータを使用しています。

降水量は5月と6月の降水量の合計です。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 5月10日 4月20日(1980年) 6月4日(1963年)
梅雨明け 6月21日 6月8日(2015年) 7月10日(2019年)
期間(日数) 41日間 11日間(1963年) 60日間(1962年、1982年)
降水量(那覇) 100% 1129㎜(1969年) 1991年(56㎜)

 

奄美の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した奄美の梅雨に関するデータを使用しています。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 5月12日 4月25日(1988年) 5月27日(2018年)
梅雨明け 6月29日 6月10日(1971年) 7月20日(2020年)
期間(日数) 48日間 19日間(1971年) 70日間(2010年)
降水量(地域平年比) 100% 36%(1971年) 184%(1952年)

九州南部の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した九州南部の梅雨に関するデータを使用しています。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 5月30日 5月1日(1956年) 6月21日(1957年)
梅雨明け 7月15日 6月24日(1955年) 8月8日(1957年)
期間(日数) 45日間 21日間(1964年) 80日間(1954年)
降水量(地域平年比) 100% 33%(1958年) 182%(1993年)

四国の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した四国の梅雨に関するデータを使用しています。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 6月5日 5月19日(1991年) 6月26日(2019年)
梅雨明け 7月17日 7月1日(1964年) 8月2日(1954年)
期間(日数) 41日間 20日間(1964年) 64日間(1976年)
降水量(地域平年比) 100% 56%(1994年) 187%(1954年)

中国の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した中国の梅雨に関するデータを使用しています。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 6月6日 5月8日(1963年) 6月26日(2019年)
梅雨明け 7月19日 7月3日(1978年) 8月3日(1998年)
期間(日数) 43日間 22日間(1978年) 66日間(1963年)
降水量(地域平年比) 100% 38%(1994年) 195%(1953年)

近畿の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した近畿の梅雨に関するデータを使用しています。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 6月6日 5月22日(2011年) 6月27日(2019年)
梅雨明け 7月19日 7月3日(1978年) 8月3日(2009年)
期間(日数) 43日間 17日間(1958年) 61日間(2009年)
降水量(地域平年比) 100% 44%(1973年) 177%(1952年)

東海の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した東海の梅雨に関するデータを使用しています。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 6月6日 5月4日(1963年) 6月28日(1951年)
梅雨明け 7月19日 6月22日(1963年) 8月3日(2009年)
期間(日数) 43日間 20日間(1960年) 61日間(2009年)
降水量(地域平年比) 100% 50%(1994年) 193%(2020年)

関東甲信の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した関東甲信の梅雨に関するデータを使用しています。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 6月7日 5月6日(1963年) 6月22日(2007年)
梅雨明け 7月19日 6月29日(2018年) 8月4日(1982年)
期間(日数) 41日間 23日間(2018年) 79日間(1963年)
降水量(地域平年比) 100% 50%(1990年) 174%(2020年)

北陸の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した北陸の梅雨に関するデータを使用しています。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 6月11日 5月22日(1956年) 6月28日(2007年)
梅雨明け 7月23日 7月2日(2018年) 8月14日(1982年)
期間(日数) 42日間 11日間(2018年) 65日間(1963年)
降水量(地域平年比) 100% 36%(1994年) 176%(1964年)

東北南部の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した東北南部の梅雨に関するデータを使用しています。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 6月12日 6月1日(1959年) 6月30日(2017年)
梅雨明け 7月24日 7月5日(1978年) 8月9日(1987年)
期間(日数) 42日間 18日間(2011年) 56日間(1971年)
降水量(地域平年比) 100% 41%(2018年) 153%(2020年)

東北北部の梅雨の統計(平年・梅雨入り・梅雨明け・期間・降水量)

データは気象庁の発表した東北北部の梅雨に関するデータを使用しています。

平年 最早(短いor少ない) 最遅い(長いor多い)
梅雨入り 6月15日 6月2日(1997年) 7月3日(1967年 )
梅雨明け 7月28日 7月8日(1978年) 8月14日(1991年)
期間(日数) 42日間 15日間(1967年) 65日間(1991年)
降水量(地域平年比) 100% 48%(1989年) 169%(1966年)