雪の降る気温の目安は?地上の気温や上空の気温目安とその隠された関係は?
雪が降る時に寒いということは知っていると思いますが、具体的には何℃になると雨ではなく雪として降るのでしょう?
また、ニュースなどをみていると上空の気温が出てきます。?
「雪の目安となる上空約1500mで−6℃」
など聞いたことはないでしょうか
なんで1500mなの?理由は?
そいうった疑問を解決していきたいと思います。
雪が降る地上の気温は?
水が氷に変わるのは(1気圧≒地上の気圧では)0℃というのは知ってますよね?
シンプルに0℃だったら雪が降るのでは?という疑問がまず1つの疑問です。
Q:地上の気温が0℃のときには雨じゃなくて雪が降る?
A:(ほぼ)その通り!
過冷却水(0℃以下の刺激をあたえるとすぐに凍る水)の状態で降って雨氷となるもの凍雨など例外はありますが
地上の気温が0℃のときにふるのはほぼ雪です。
気象庁をはじめとする様々な観測結果という裏付けもあります。
0℃なら雪。
自然ですよね?
でも、1℃や2℃でも雪は降るんです。
観測の結果でもそうなっています。
地上の気温が1℃や2℃なら雪になることの方が多いぐらいです。
雪の降る地上気温は湿度と関係している
地上の気温が氷点下であれば雨でなく雪となることは当然ですよね?
気温が0℃以上でも雪となることはやや不思議ですが、蒸発する水のことを考えれば納得できませんか?
雪は、ゆっくりと落下してきます。
ゆっくりと降るということは、その分空気に触れるということです。
空気に触れた雪は、一部が蒸発します。
蒸発した水は熱を奪います。
汗が蒸発して体を冷やすのと同じですね。
なので、空気が乾燥すればするほど雪になりやすくなります。
観測結果からも湿度85%なら1℃以下で雪ですが、湿度50%と乾燥すると4℃でも雪として降ります。
乾燥して蒸発する水(氷)の量が増えるからですね。
実際に観測される湿度から考えても、掲載したグラフに書かれた「6℃以上で雨」という記載からも
5℃台より気温が低ければ雪となる可能性がある(湿度次第)
とまとめることができそうです。
雪が降る目安となる上空の気温は?
結論から言えば、上空約1500mで-6℃、上空約5000mで-30℃が平地で雪が降る目安の気温と言われています。
雪がギリギリふるぐらいで、雪が舞うことがる・・・といった気温の目安です。
上空約1500mで-6℃、上空約5000mで-30℃というのはあくまで「雪が降る目安」で「大雪の目安」ではありません。
大雪の目安なら更に6℃低い上空約1500mで-12℃、上空約5000mで-36℃などがよく使われます。
ただ、気温だけでは雪は決まりません。
湿度や風の収束や発散、低気圧など様々な条件が絡みますので、あくまでも大雑把な目安となります。
2021年12月26日東京の初雪の例
先ほど、雪の目安となる上空約1500mの気温は−6℃とお伝えしました。
上の図は、2021年の東京の初雪のときの上空の天気図です。
実況の天気図は12時間ごとしかないので、初雪観測の9時間後になりますが、−6℃の線が南にあります。
気温が下がって、このとき東京では−7℃まで下がっています。
前日夜は、東京の上空約1500mで−4.7℃でした。
−4.7℃からー7℃に下がっている途中で雪が降わけです。
上空約1500mで−6℃が目安・・・確かに当てはまってますね。
どうして目安は上空約1500mや5000mなの?
テレビで聞いて、不思議に思う人もいると思います。
どうして、上空1500mなの?1000mじゃないの?
もっともな疑問です。
あと「約」ってのも疑問ですよね。
答えは、気象の慣例にあります。
天気図は通常、上空の高さを気圧で表現します。
上空ほど気圧は下がりますからね。
気圧で高さの代用が可能なんです。
現代であればメートルで表現するような天気図も比較的容易に作れるでしょうが、昔は天気図は手書きでした。
そして、天気図のもととなるデータはメートルでなく気圧で入手していました。
理由は、直接、観測できるから!
詳しくは、ゾンデ観測を知るとわかるのですが、風船を上空にあげて気圧と気温、湿度を調べます。
高さはそこから計算するものです。
なので、観測している気圧が高さを表しています。
天気予報でよく使うのは850hPaと500hPaですがそれらが
上空約1500mと約5000mに対応するため、「上空約1500m」や「約5000m」
という中途半端な高さの気温が使われるわけです。
気圧と高さの関係は日によって(温度によって)違うので、1500mではなく1440mだったり1560mだったり
するのですが、そのあたりをひっくるめて約1500mという表現になります。
上空850hPaの気温といえば「約」は不要なんでしょうが、それでは伝わりませんからね。
雪が降る目安となる上空の気温には関係があった!
地上で3℃
上空約1500mで-6℃
上空約5000mで-30℃
「雪が降る目安」で紹介しました。
最初、私はこれをただの経験則だと思っていました。
たしかに、最初はそうだったかもしれません。
ですが、この数字には驚きの関係が存在していました!
じつは、これらの数字、湿潤断熱元率で変化した温度になっているんです!
ちょっと伝わりにくいですか?
いいかえると、3℃の地上付近の空気を上空1500m(飽和して雲を作りながら)まで持ち上げると約−6℃になるんです。
地上付近では、このぐらいの気温だと雲を作りながら上昇する空気は6.3℃/kmの割合で気温が下がります。
1500mだと、6.3☓1.5=9.45で 約9.5℃下がります。
地上で3℃なら、上空約1500mに持ち上げて−6.5℃
一致してますね!
同じように計算して5000mの場合(上空に行くと湿潤断熱元率が変化するので次は6.8℃/kmで計算します)
6.8×5=34
3−(34)=ー31℃
上空5000mで雪の降る目安と言われる−30℃とほぼ一致してますね。
湿潤断熱元率は、高度と気温で変わってくるので厳密に計算するには積分する必要があります。
なので、厳密に計算すると更に一致するかもしれません。
同じように計算して3000mの場合(上空に行くと湿潤断熱元率が変化するので次は6.8℃/kmで計算します)
6.8☓3=20.4
3−(20.4)=ー17.4℃
これも、雪の降る3000m目安のー18℃(3000mはあまり使われないので人によって数値は分かれるかもしれません。)とほぼ一致します。
こんなにも計算と一致するのは、よく考えると普通のことで
雪も雨と一緒で雲から降るものです。
雲は様々なできかたがありますが、日本海側でよく見る雪雲は対流雲といって地上付近の空気が上空まで持ち上がって出来たものです。
だから、空気が上空約1500mや5000mまで持ち上がったときの気温と、雪の降る目安が一致するんです。
当然といえば当然ですが、理由はしっかりあるんですね。
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