1年先、1か月先の天気を知りたいなら天気出現率。天気出現率とは?

2025年4月28日

天気出現率とは

「天気出現率」とは、文字通り特定の日の天気の出現率です。

過去の天気から、特定の日の天気の傾向が分かります。

1月1日には東京では過去に晴れの日が77%だった・・・とかそういった意味です。

収集期間に決まったルールはありませんが、平年値と一致させて30年間という期間にするのが一般的です。

2025年であれば、1991年から2020年までの30年間が一般的でしょう。

似たような言葉で「平年値」というものがあります。

平年値は過去30年(期間は上記)の平均値です。

気温や降水量であれば平均値が求められるので平年値が計算できますが、「晴れ」や「雨」は数値ではなく平均が求められないので平年値はありません。

なので、過去の天気の状況が知りたければ「出現率」を調べた方が良いことになります。

 

過去の天気だからってバカにはできません。

地域によりますが、天気には季節ごとの出やすい傾向があります。

夏であれば晴れやすいとか、関東の冬も晴れやすいでしょう。

日本海側の冬は曇りや雨の日が多くなります。

そういった傾向はあるていどあてになります。

20日も先であれば、天気予報よりも天気出現率を見た方があてになるはずです。

 

1年後の天気が知りたければ天気の出現率を確認してください

1年先の天気を計算することは不可能です。

現代の天気予報は、スーパーコンピューターで物理法則を数値的に計算して作成します。

ですが、計算は完璧ではなく、一部誤差を含みます。小さいものではありますが、その誤差が積み重なり無視できないものとなります。

現代だと10日ぐらい先になるとその誤差がかなり大きく、予報に対して無視できないものとなります。

そのため、日々の天気予報は10日までが主なものとなっています。

ということで、1年も先であれば天気予報をみるよりも「天気出現率」で傾向を見る方が当たりやすいことになります。

2020年に更新した最新の全国の天気出現率はがあるので使ってみてください。

この、天気の出現率、季節によってはかなり当たるので、天気予報は、この天気の出現率との戦いでもありあます。

天気出現率からわかる1年間の天気の特徴

天気出現率をみると1年間の天気の傾向がわかります。

全都道府県のとはいきませんが全国の特徴を見ていきましょう。

春の天気の特徴

下の図は東京地方気象台の天気の特徴を参考にしています。

春の天気の特徴

春は、日本付近を低気圧と高気圧が交互に通過します。

「移動性高気圧」とか「移動性低気圧」などと呼ばれます。

18日の天気図でも低気圧が北海道付近にありますね。

西から移動している移動性低気圧です。

春の日本付近は、上空をジェット気流が通っています。

亜熱帯ジェットと呼ばれるジェット気流が最も南で高度が高いジェット気流です。

偏西風とも呼ばれます。

そのジェット気流より南では高気圧の支配下になります。

青色の点線のジェット気流ですね。

実はこの北側には、別の性質をもつ寒帯ジェット気流と呼ばれるジェット気流があります。

天気はジェット気流の影響を大きく受けます。

ジェット気流について詳しくはWikipediaのジェット気流などを参考にしてください。

この2つのジェット気流の間が偏西風帯となり、低気圧と高気圧の通り道となります。

低気圧が通れば雨、高気圧の影響が大きい時は晴れとなります。

1年後の天気はこの高気圧に覆われる日か、低気圧に覆われる日かどちらかでしょう。

3月の天気出現率

北は北海道から、南は沖縄の天気出現率を掲載しています。

晴れと雨がバランスよく現れてますね。細かく見れば、やや雨が少ないでしょうか。

低気圧が通過する時の雨の時間はそこまで長くない・・・ということでしょう。

しっかりと雨になるのは確率でいえば週に1回(7日に1回)というぐらいでしょう。

北海道の場合、低気圧が通過した後、「冬型の気圧配置」となり雪が降るために雪の日が多くなっています。

大まかな春の天気のイメージは

晴れ→晴れ→曇り→曇りのち雨→曇り→晴れ

といった感じです。

1年後の春の天気もこのサイクルのどれかです。

1年後の天気を考える場合、このサイクルのどこの日なのかを考えます。

どの日になるかは確率で考えるしかありません。

1年後の天気を知りたい場合は全国の天気出現率を参考にしてください。

 

夏の天気の特徴

夏の天気図の特徴

上の図は、夏の天候の特徴と代表的な天気図です。

亜熱帯ジェットが東北地方まで北上していますね。

ジェットの南側は段々と高気圧が強くなります。

ジェット気流から千キロも南にいけば完全な高気圧の勢力下。

晴れて、気温は高くなります。

また、湿度も高くジメジメした気候になります。

8月の天気出現率

夏を代表して8月の天気出現率を掲載しています。

雨の日が減って、晴れの日が多くなっていますね。

これを見れば1年後の天気でも「夏なら晴れが多い」ということが分かるでしょう。

北海道はジェット気流の北側になるので、低気圧や高気圧が交互に通りやすくなっています。

北海道は梅雨が無いといわれていますが、7月の下旬など雨が多くなる時期があります。時期が定まっていないため梅雨とは呼ばれないと札幌管区気象台のHPにも書かれています。

ジェット気流の北側に当たる北海道で雨が多いという理屈です。

多少のずれはありますが、ジェット気流の数百メートル南側南側が前線と考えられます。

たまたま、地上の風向きなどで活動が不活発になることはありますが、湿った空気が吹き込むなどの事があればジェット気流の下には前線ができます。

当然、そこでは雨が多くなります。1年後ぐらい先の話となれば、「北海道の夏の天気は曇りや雨の可能性が高い」といてば当たる確率が高くなります

 

ジェット気流より南に当たる関東や関西、その南側では高気圧に覆われて晴れの日が多くなります。そういう地方で1年ぐらい先の天気予報を考えると「天気は晴れの可能性が高い」と考えればよいでしょう。

 

 

1年後の天気を知りたい場合は全国の天気出現率を参考にしてください。

秋の天気の特徴

秋の天気図の特徴

秋と春は天気図がほとんど同じです。ジェット気流の位置が同じですからね。

低気圧と高気圧が交互に通過することになります。

1つ違うのが、海水温が高い高いことです。

海水は気温よりも温まりにくい分、さめるのも遅くなります。

気温が下がっても南の海上では海水温が高く、台風が発生しやすくなっています。

また、日本付近も秋には海水温が高いため台風がそのままの勢力で日本付近に接近します。

図には、太平洋高気圧がかかれていますが、台風はその周りを周りながら北上します。

 

10月の天気出現率

天気出現率をみても、春と同じで雨、晴れ、曇りバランスよく出現率しています。

天気が周期的に変化している証拠ですね。

1年後の天気を考える場合、どの天気もバランスよく出現率するので予想は難しいです。

まぁ、強いて言えば晴れの確率は高くなりますね。

冬の天気の特徴

冬の天気図の特徴

 

12月の天気出現率

冬の天気は、地域によって大きく差が出ます。

晴れやすい地域と曇りや雨・雪になりやすい地域、大きな差があります。

天気出現率をみると、北海道では雪の日が多いですね。

これは、低気圧と高気圧が交互に通過するためです。

北海道では、低気圧の通過中に天気が崩れ、その後も低気圧が東に抜けても冬型の気圧配置が続くことが原因で、天気がなかなか回復しません。天気が回復するのは交互に通過する高気圧が北海道付近を通っているときだけ。

なので、晴れ→雪→雪→雪→くもり→晴れ  といったサイクルになります。

1年後の天気を予想する場合、北海道では雪の確率がグンと上がります。

また、この傾向は日本海側の地域では共通します。

南は鳥取・島根から福井、石川、新潟、秋田、青森と共通した傾向です。

あまりに雨や雪が多いため「出雲」といった地名があるほどです。

だいぶ南にはなりますが、沖縄も同じ傾向があります。

 

逆に、冬の太平洋側の地域は晴れの日が多いです。

天気出現率でも関東などは晴れの日が多いですよね?

日本海で湿った空気が雨や雪を降らせ、その後の乾いた空気が吹いて来るからです。

1年後の天気を考える場合、太平洋側の地域では冬なら晴れの可能性がかなり高いと考えれば間違いないでしょう。

この傾向は、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、和歌山、大阪、徳島、高知、大分、宮崎、で見られます。

 

1年先まで天気予報をしない理由

 

例えば気象協会の運営するTENKI

https://tenki.jp/week/

10日までですね。

 

日本だけではありません。

外国、世界最先端のECMWFやアメリカのGFSではやっぱり16日までですね。

 

2024年の段階では16日というのがキリがいいというのはありますが、この辺りが現在の科学技術の限界のようです。

と、言いますか、天気図を見ていると7日を過ぎたあたりから、天気図の精度が悪く、翌日には低気圧の位置が変わっている

・・・ということはよくあるように感じます。主観ですが。

15年ぐらい前は先の7日先の天気図は怪しい・・・と感じていましたが、5年前ぐらいからは2~3日のびで7日〜10目はちょっと信頼できる。怪しいのは10日〜16日 と、個人的に感じています。

ここで言う、天気図が怪しい・・・というのは、低気圧の位置などが大きく違ってくるという意味です。

スケールで言うと100㎞ぐらいの大きさの低気圧の位置や勢力がずれてくるという話です。

天気予報が当たらない理由は別記事にまとめてますが、そこでは、10㎞未満の雨雲の影響で当たらない

という話をしていますがその話とは少し違うのでよろしくお願いします。

 

さて、天気出現といえば・・・

旧体育の日は晴れが多い!(10月10日)

東京オリンピックの開会式の行われた10月10日が特異日(周りに比べて、特定の天気が多い日)だったという噂があります。開催日よりあとの天気出現率にはなりますが、

全国の天気出現率から東京を選択して調べてみると・・・

ほとんど差はないようです。この天気出現率は、ここ30年のデータで、更に遡ったら少しは結果はかわるかもしれませんが、10月10日に特別な意味はないはずです。

外国には90日先まで予想する会社もある

アメリカの会社でACCWETHERという会社があります。

世界中の天気予報をしています。

もちろん、日本の天気予報もしています。

90日先まで予想をしており見ることができます。

ですが、googleの検索で「ACCWETHER」を調べると

「ACCWETHER 当たらない」という予測変換が出てきます。

それぐらい当たりません。

90日先なんて・・・信じてはいけません。

 

10日以上先の天気予報が不可能な理由を詳しく

日食や天体の動きは、秒単位で予想が可能です。

その他にも、現代科学の発展のおかげで限りなく細かくい予想が可能になった分野は多々あります。

しかし、気象学はその現代文明をもってしても、計算が完全には出来ません。

理由は大きく分けて2つです。

①天気を左右する要素が多すぎる(地球上大気に存在するすべての粒子の予想が必要。)

②予想するための式が非線形の微分方程式である

という2つです。

①については、そのままです。天気予報では、簡易的に計算するために、地球上を約20㎞毎に分割して計算をしています。

しかし、その20㎞のなかにも沢山の天気を左右する粒子が存在します。

要は、計算を簡単にするために単純化をして正確さを犠牲にしているんです。

 

②については、「バタフライ効果」という言葉で置き換えられますが、蝶の羽ばたきでさえ1か月後には嵐を引き起こすという言葉があります。

ちょっとの差が大きな差へと成長していくようなシステムになっているんです。

もちろん、すべてがそうとは限りませんが、それぐらい繊細という例えです。

実際に、誤差を与えてシミュレーションをしてみると、確かに大きな違いになって計算結果が出力されます。

この2つの話を総合すると①でちょっとの誤差が発生し②でその誤差が大きな差となる

天気予報には、誤差を生むシステムが最初から内包されていることになります。

 

でも、そうでもしなければ天気予報なんてできない。

それぐら複雑な自然現象なんです。

 

毎日当たり前のように見ている天気予報ですが、実は複雑で難解な試みをしているんです。

科学の言葉を使えばカオスです。

混沌です。

昔の科学者に、天気を予想することは未来永劫不可能といった人がいます。

 

今聞くと、「いや、出来てるけど?」

と言いたくなりますが、理屈の上では非常に難解なことをしていると頭の片隅にでも置いてもらえれば

気象予報士としてうれしく思います。