【気象予報士実技や天気予報の勉強に役立つ】天気図の見方~前線解析~

2021年4月9日

kaku

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気象予報士の実技試験や、趣味の天気予報のための天気予報の見方、ポイントの読み取り方を説明します。今日は、前線の解析についてです

 

天気図は慣れれば誰でも書いてあることが読み取れます。

ポイントの読み取り方さえわかれば天気のイメージは簡単にできます。

もちろん、気象予報士の実技試験はそのポイントの読み取りが出来ているを問う試験です

 

ここでは、実例を蓄積し、その天気図の読み取りに慣れることを目的にしています。

要は実践的天気図読み取り訓練です。

 

まずは前線からです。

気象予報士の試験にしても、普段の天気予報にしても前線ほどよく出てくる天気記号はありません。

前線は雨を左右する天気図の主役といってもいいでしょう。

早速、実例を集めて紹介しましょう。

実例に行く前に

天気図の見方500hPa編

天気図の850hPa編はおさえててくださいね。

また、過去の天気図を表示するページで過去の天気図をどんどん見て、経験値を上げて試験にのぞんでください。

 

停滞前線は相当温位から読み取れる

梅雨時期の前線や秋雨前線の時期の前線は停滞前線になることが多いですね。

その停滞前線について、停滞前線とは何なのか振り返りましょう。

停滞前線とは

停滞前線は、その名の通り停滞している前線です。

では、なぜ停滞しているのか。

理由は簡単です。

北側からの寒気と南側からの暖気が釣り合っているからです。

厳密にはどちらかの風の方が強いので多少は南北に動きます。

北側の風が強ければ南側へ動く。

南側の風が強ければ北側へ動く。

単純ですね。

 

でも、動きっぱなしではありません。

たいていの場合、南に下がれば南風の強い領域まで前線が下がり、結局は北風とバランスします。

逆に、前線が北上した場合も同様です。

北上した前線は北風の強い領域で南風とバランスして停滞します。

多少のスピードをもって南北にゆっくりと振動するのが停滞前線です。

 

停滞前線

停滞前線の北風は冷たく、南側は暖かい。

教科書には大体そう書いているでしょう。

実際のところ、日本では北風=大陸からの乾いた風(冷たいのでそもそも水蒸気を含めない)

南風=海からの湿った空気(暖かいので水蒸気を大量に含める)

この2つの空気がぶつかっている所が停滞前線になります。

 

冷たく乾燥 vs  暖かくて湿った空気

 

の戦いですね。

 

ここで気付くことがあります。

 

天気図には暖かくて湿った空気を表す天気図があります。

相当温位の天気図です。

相当温位が初めての人は気象予報士対策相当温位についてをご覧ください。

実際の天気図上では、停滞前線は温度の傾きより相当温位の傾きの方が大きくなります

 

天気図を使って前線の位置を見つけるときは相当温位を使うのが簡単です。

前線の南北でハッキリと差が現れるからです。

 

実際の天気図を例に見てみましょう。

停滞前線の位置

左が850hPaの相当温位の天気図で右がASAS(アジア域地上解析)です。

相当温位の線が混んでいるとろ(南北で傾きが大きい所)が前線に概ね対応しています。

ちなみに、台風のある日の天気図を出していますが、台風は前線を伴いません。

だから、天気図も台風のところで前線を止めています。

 

さぁ、これで停滞前線は自分で見つけれられるようになりました!

 

というと簡単すぎですね。

 

少し細かいポイントを追加で説明します。

850hPaの前線は、地上前線よりちょっと北にある。

細かく見てみれば気づきますが、地上の前線と850hPaの前線、ちょっとずれています。

そのちょっとのずれは、前線の立体構造にあります。

前線は通常、上空ほど北に傾きます。

停滞前線に限らず、温暖前線も寒冷前線もほとんどそういった特性をもっています。

 

850hPaは上空約1500mですが、その1500m(1.5km)の間に

100km程度は傾くことがあります

 

上空に上がるほど北へ傾き、最終的にはジェット気流の北側まで繋がることも多々あります

もちろん、実際の天気図は多彩で、中層が乾燥していて不明瞭になることもあります。

 

この日の700hPaで前線面を解析してみると右の図の青線辺りの場所になるでしょう。

 

前線解析例700

700hPaの前線面の南が暖かく(Wマーク等があって)湿っており、北側が冷たく乾燥しています。

当然、温度線もやや混んでいます。

相当温位の線ほどではありませんが、温度線(厳密には500hPaの温度線なのでやや北になります)が3本も近くにあれば傾圧帯(表空の前線)ですね。

左の図は温度線が850hPa、上昇流域は700hPaですが、ちょうど上昇流の大きいところと上空の傾圧帯(前線面)が一致しています。そこを前線面(=上空の前線=傾圧帯)と考えればいいですね。

 

また、この前線帯、一部が500hPaまで繋がっています。

ちょうど、下の図の右側(500hPa)の南側のジェット気流(=渦度0線)あたりが前線です。

下の図の右側(500hPa)には、明瞭なジェット気流が2本見えます。

東西に長い2本の渦度0線がジェット気流です。

南の方は、亜熱帯ジェット気流(サブトロピカルジェット気流)ですね。

太平洋高気圧に一致する5880mの高度線のすぐ北のジェット気流なのでそのように判断できます。

一つ北の5700m付近の流れのジェット気流は寒帯系のジェット気流でしょう。

朝鮮半島付近では、サブトロピカルジェット気流と前線が繋がるという教科書と少し違う状態になっていますが、こういう事はしばしばみられます。

気象の世界は例外が多く最初のは「教科書と違うなぁー」と思ってみていましたが

今ではそういうこともあるんだと私は考えています。

ほんと、どうみてもサブジェットと前線が繋がっているとしか見られないことは多々あるので。。。

前線解析500

 

また、関東の南にめをやると、地上に前線があるわりに降水の少ない領域があります。

この領域の上空に目をやると500hPaでは、5880mの高度線の領域内です。

言いかえれば、太平洋高気圧の勢力圏内です。

だから、地上では前線があって雨は降るでしょうが、対流は抑制され雨量は少なくなります

 

上空のジェット気流付近とつながり対流の深まっている朝鮮半島付近とは雨量が全くちがいますね。

 

このように、専門天気図を見るときは立体的な構造を意識してみると理解が深まります。

現象について、1つ1つが繋がって見えてきます。

知識を1つ1つ繋げていく作業を理解することと私は考えています。

こうやって、知識をつなげるためには日々、天気図を見て考える事いがいに道はありません。

 

1ヶ月もこの作業を続ければ、気象予報士の実技対策に必要な天気図を見る目を十分に養えます

 

私もコツコツとページを増やしますので一緒に勉強していきましょう。

 

最後に私が勉強したテキストを紹介します。

正直、天気の見方の基本は私はこれ1冊しか読んでいません。

あとは、普通の気象の本と日々の天気図による自己研鑽です。

 


実技に関してはこのテキストと過去問が非常に役に立ちます!

これは、私だけでなく他の人のアマゾンレビューでもわかります。

実技試験のバイブルだそうです。

実技テストアマゾンレビュー

正直、気象予報士試験に特化した良書はそうそうありません。

もし、持っていないなら是非、購入してみてはいかがでしょうか?

 

あなたの気象予報士対策のお役に立てれば幸いです。

天気図の見方

Posted by kaku