気象予報士に独学で受験するための入門ページ(温位と相当温位)

気象予報士の勉強を始めて、最初に出てくる、専門的な用語は温位と相当温位ですね。

私も、始めて「勉強したなぁ~」と感じたのは相当温位を理解した時でした。

相当温位は、よく見る天気図にも使われる、代表的な物理量です。

相当温位を知らない気象予報士はいないでしょう。

気象予報士は100%みんな知ってる相当温位。

でも、逆に、気象予報士や気象学を勉強していない人で相当温位を知っている人がいたら驚きですね。

そういう「知る人ぞ知る」相当温位を学んでみましょう。

相当温位4面図

 

まずは、エマグラムの説明

エマグラムは、大気の状態を理解するための図です。

その地点の地上から上空までの大気の状態を示します。

もっと言えば、地上から上空までの気温、湿度がわかり

その気温と湿度から大気の安定度を理解できます。

気象庁エマグラムの例

さぁ、1つ一つ理解していきましょう。

まずは、3種類の線の説明です。

エマグラムの乾燥断熱線、湿潤断熱線、等飽和混合比線 の説明

エマ(解説)

乾燥断熱線

乾燥断熱線は、一番シンプルです。

空気は上空にいくと気圧が低いので膨張します。

膨張した空気は気温が下がります。

そう、空気が上昇すると気温が下がります。

どれぐらい下がるかといえば、1㎞の上昇で約10度下がります。

100mにつき0.977℃下がるとも言います。

その、上昇による気温の下がり方は、乾燥断熱を見れば分かります。

この、乾燥断熱線にそって空気は上昇します。

空気が加工する場合も同じです。この、乾燥断熱線にそって空気が下降します。

 

湿潤断熱線

空気が上昇や下降する場合は乾燥断熱線に上昇や下降をします。

しかし、それは、雲が発生しない場合はという条件付きです。

雲が発生しない場合は乾燥断熱線に沿いますが

雲が発生する場合は、湿潤断熱線です。

湿潤断熱線に沿って温度が代わります。

湿潤断熱線は、温度の変化が緩やかになります。

エマグラムでみると、傾きが緩やかです。

その理由は、雲が発生することによる凝結熱です。

水蒸気→水 への変化は 熱が発生します。

水→水蒸気 で熱が吸い取られるのは汗をかいた時で有名ですよね?

その逆です。雲の正体は水滴です。 水蒸気→水 の変化は雲の発生を意味します。

そして、雲が発生したときは熱を発生させます。

空気は上昇した場合、気温が下がりますが、雲の発生による熱でその下がり方を緩やかにします

等飽和混合比線

こちらは、飽和する混合比を示す線です。

それを理解するためには混合比の理解が欠かせません。

混合比は1㎏中の水蒸気の量を表します。

1kgの中に何グラム水蒸気が入っているかということです。

「飽和」混合比なので

その混合比が飽和した場合の混合比です。

その気圧(高度)と気温で含むことができる水蒸気の量です。

湿度の情報が無いので、現状の混合比は分かりません。

あくまで、「飽和」の水蒸気量しかわかりません。

持ち上げ凝結高度

次は、持ち上げ凝結高度の説明です。

最初に与えられてのは

①気温(1000hPa、20℃) スタートと書いている薄紫

②露点温度(1000hPa、12℃)赤色

この2つが上昇するについれて変化します。

①気温(1000hPa、20℃) スタートと書いている薄紫は  青の乾燥断熱線に沿って変化

②露点温度(1000hPa、12℃)赤色 の露点温度は等飽和混合比線に沿って変化

 

そして、合わさった点、そこ持ち上げ凝結高度です。

飽和混合比線とぶつかった点から飽和するということです。

持ち上げ凝結高度は雲の発生し始める高度です。

エマ(持ち上げ凝結高度)

持ち上げ凝結高度高度のポイントは

①雲ができ始める高度

②そこまでは乾燥断熱線に沿って上昇

③その後は、湿潤断熱線に沿って上昇

という動きを空気はします。

温位と相当温位を

空気の上昇と下降によって、空気がどう運動するのかがエマグラムで勉強できたところで

次は本題の温位と相当温位です。

温位とは

空気は、雲が発生しない場合、乾燥断熱線に沿って上下することが分かりました。

その、乾燥断熱線に沿って1000hPaまで下降させたときの温度を温位といいます。

温位は「℃」ではなく「k(ケルビン)」で表現しますので273.15をセ氏の温度に足してくださいね。

温位は何のために?

温位は、高さの違う空気の温度を比較するときに便利です。

「①800hPaにある5℃の大気」と「②1000hPaにある20℃の大気」

どちらが暖かい?どちらが冷たい?

という問題です。

800hPaのほうが5℃と気温が低いようですが

1000hPaまで乾燥断熱線に沿って下降させると25℃(1㎞約10℃で概算)さらにケルビンに換算して

273+25=298kとなります。(①800hPaの大気 温位:298k)

②の1000hPaにある20℃の大気は、そのままケルビン温度に監査して

273+20=293K(②1000hPaの大気 温位:293k)

したがって、①の800hPaの大気の方が温位が高くなります。

上空の方が温位が高いということは、上空の方が密度が低い(軽い)ということになります。

こういう大気は不安定ではありません。

しかし、完全に安定しているかというと、そこは水蒸気による凝結熱の影響次第です。

そして、その水蒸気の凝結熱を考慮した温位が相当温位となります。

相当温位とは

相当温位は、「温位に水蒸気の凝結熱を加えたものです」

一言でいってしましたが、この概念がとーーーっても大切です。

温位が300kの空気があったとします。

その大気をの水蒸気をすべて凝結させたときの温位が相当温位です。

エマ(相当温位)

エマグラムでいえばこんな感じです↑

持ち上げ凝結高度 まで 乾燥断熱線に沿って上昇

乾燥断熱線からは、上空(約100hPa付近)まで上昇

最後は、乾燥断熱線で下降させて1000hPaまで。

その時の温位を読み取って相当温位の出来上がりです。

相当温位は気温と湿りの度合いを合わせた量です。

言い換えると

相当温位=暖湿気の度合いを測ることができる物理量です。

暖湿気は大雨と関係が非常に深いです。

相当温位が高いと大雨の可能性が高まります。

また、気団の性質の判断にも使えます。

冷たいく乾いた空気だと相当温位は低くなります。

そういった使い道があるので相当温位は天気図に使われています。

相当温位4面図

南の方が相当温位が高く北の方が相当温位が低くなってますね。

340kを超えるような大気は非常に暖かく湿っています。

その暖湿気が入り込んでいる地域では大雨のポテンシャルが高まります。

実際、適当にとってきた天気図ですが、348kあたりで相当温位の線が混んでいます。

この相当温位の線が混んだ所の南がは雨が降っていて、所々強い雨雲ができています。

適当な雨雲レーダー2

実際の天気は相当温位だけでは決まりませんが、一つの見極める注目点にはなりえます。

温位や相当温位がわかれば不安定がわかる。

大気の状態が不安定という言葉、聞いたことはありますか?

大気の状態が不安定とはやや抽象的になります。

不安定には2種類あって絶対不安定と条件付き不安定の2種類があります。

逆に、大気の状態が安定している事を絶対安定とも言います。

難しい言葉ですが1つつ抑えていきましょう

 

絶対不安定とは

文字通り、絶対にどう考えても不安定な状態です。

温位という言葉を使えば、上空の方が温位が低く、下層の方が温位が高い事です。

下層の方が暖かい状態です。

自然にはほぼあり得ない状態です。

なぜなら、そんな状態があったらすぐに対流が発生して不安定は解消されます。

瞬間的にはあるでしょうが天気図や数値予報資料ではほぼお目にかかれません。

試験のためのだけの言葉でしょう。

 

条件付き不安定とは

自然界の不安定はほぼ、これです。

条件付き不安定は、下層の空気が持ち上がっていく場合

持ち上がりかたによっては上空の気温より暖かく不安定。

持ち上がり方によっては上空の気温より冷たく安定という意味です。

エマ(条件付き不安定)

潜在不安定、対流不安定

この2つの言葉は概ね同じ意味で使われます。

上空の方が相当温位が低い場合に使われます。

整理すつと

上空の方が温位が低い場合→絶対不安定

上空の方が相当温位が低い場合→対流不安定

なぜそんな名前かというと、対流が広範囲に起こったとき

下層の空気が上昇して、雲が発生するほど上昇した場合には不安定になるから対流不安定と呼ばれています

雲が発生した場合は、水蒸気の凝結熱まで加わり、下層の空気が暖められます。

下層でのみ凝結熱が加わると、下層だけ暖められて、不安定になる・・・という理屈です。

下層も、上層もすべて雲ができて同じように気温が上昇したら不安定にはなりません。

そういう隠れた不安定なので潜在不安定とも呼ばれています。

厳密な使い分けをするテキストもありますが、基本段階ではおおむね同じととらえて問題ないでしょう。

大雨が降って、急に雲が沸くような事がありますが、ほとんどの場合、この潜在不安定が顕在化しています。

気象予報士の実技対策をする場合は、エマグラムや天気予報、数値予報資料のチェックが欠かせないので、慣れてきたら

そういった資料も見る習慣をつけるといいでしょう。