天気予報のモデルの見比べ方|ECMWF・GFS・ドイツ・カナダ・AI の5つを並べて「そろい方」を見る
同じ週末の天気なのに、テレビでは「晴れ」、スマホのアプリでは「雨」。別のアプリを開くと「くもり時々雨」。どれを信じればいいのか分からなくて、結局いちばん良さそうなものを信じたくなる……。そんな経験はありませんか。
天気予報が違ってくる理由の一つは、もとになっている数値予報モデルの計算が違うことです。世界には、国や機関ごとにいくつものモデルがあり、同じ日の同じ時刻でも、少しずつ違う答えを出します。でも、その「違い」こそが、予報の確かさを教えてくれる手がかりになります。
この記事で分かることは、次の4つです。
- 数値予報モデルとは何か、なぜモデルごとに答えが違うのか
- ECMWF・GFS・ドイツ・カナダ・AI の5つのモデルの特徴
- 5つのモデルを同じ時刻の天気図で並べて見る方法
- モデルが「そろう日」と「分かれる日」の読み方
先にお伝えすると、当サイトでは、ヨーロッパ(AI もふくむ)・アメリカ・ドイツ・カナダの5つのモデルの計算を、同じ時刻の天気図で並べて見られる世界の天気予報モデルを比較のページを作りました。この記事では、その使い方をくわしく紹介します。
数値予報モデルとは? なぜ答えが違うの?
数値予報モデルは、地球の大気を細かいマス目(格子)に分けて、今の観測から先の大気の動きをコンピューターで計算するしくみです。今の天気予報は、気象庁のものもふくめて、どれもこの計算をもとに作られています。天気予報ができるまでの流れはこちらの記事にまとめています。
モデルは、国や機関ごとに作られています。計算のしかた、マス目の細かさ、そしてはじめの状態(今の大気の様子)の作り方が少しずつ違うので、答えも少しずつ違ってきます。大気には、はじめのわずかな違いが、時間がたつほど大きくなっていく性質があります。そのため、先の日ほど、モデルの答えは分かれやすくなります。

これは説明のための模式図です。数日先まではどのモデルも似た答えを出しやすく、1週間を過ぎると、モデルごとにかなり違う答えになることがあります。テレビ・アプリ・サイトで予報が違うのは、使っているモデルや、そのあとの補正のしかたが違うためです。そのあたりの話はこちらの記事でも書いています。
5つのモデルの特徴
世界の天気予報モデルを比較で見られるのは、次の5つです。
- ECMWF(IFS):ヨーロッパ中期予報センターのモデル。15日先まで。当サイトのほかのページでもよく使っている、中心のモデルです。くわしい見方はECMWF の天気予報の見方に。
- ECMWF AI(AIFS):ECMWF が過去の大気のデータで学習させた AI のモデル。物理の式を解くかわりに、今の状態から6時間先の状態を AI が求めることをくり返します。15日先まで、6時間ごと。はじめの状態は ECMWF(IFS)と同じものを使っています。
- GFS:アメリカ海洋大気庁(NOAA)国立環境予測センターのモデル。15日先まで。2週間先の天気図の見方はこちらの記事に。
- ICON:ドイツ気象局(DWD)のモデル。約13km の細かい計算で、7日半先まで。
- GEM(GDPS):カナダ環境・気候変動省の気象局のモデル。約15km の計算で、10日先まで。
AIFS は、低気圧や台風の進み方は得意とされる一方で、強い雨の山は小さめに出やすいと言われています。同じ ECMWF の物理のモデル(IFS)と並べると、AI と物理の計算の違いが見えて、なかなか面白いですよ。
5つのモデルを並べる:使い方
ページを開くと、1枚の天気図が出ます。色は3時間の雨の量(AIFS は6時間)、白い線は海面気圧(4hPa ごと)、動く線は地上の風の流れです。上のボタンで「1画面」「2画面」「4つ並べる」を切り替えられます(「4つ並べる」は画面の広いパソコンで出ます)。
- 時刻を動かす:地図の下のつまみを左右に動かすと、3時間ごとに時刻が変わります。▶ を押すと自動で進み、📅 のボタンで日付から選べます。
- モデルを選ぶ:地図の左上で、それぞれの地図のモデルを選べます。地図を動かすと、全部いっしょに動きます。
- 共有:今の表示(モデル・時刻・地図の位置)をそのまま開ける URL がコピーされます。
- 天気図ビューワー:同じ時刻・同じ場所のまま、天気図ビューワーへ。地点の雨と気圧のグラフや、上空の気温、県別の雨の表で、もっとくわしく見られます。
例1:4つのモデルが「そろう日」
2026年11月6日9時の計算で、11月9日(月)15時を「4つ並べる」で見てみました(左上から ECMWF・AIFS・GFS・ICON)。

どのモデルも、日本の広い範囲に雨の色が広がっていて、関東の東の海には低気圧(または、まとまった雨の所)があります。低気圧の位置や雨の強さは少しずつ違いますが、「この日は、広い範囲で雨」という大きな形はそろっています。
3日先で、4つのモデルがこれだけそろっていれば、雨の見通しは比較的確かだと考えられます。実際、同じ日の気象庁の週間予報でも、たとえば箱根を含む神奈川県西部の11月9日は「曇時々雨・降水確率70%」でした。
例2:モデルが「分かれる日」
同じ計算で、もう少し先の11月12日(木)15時です。

今度は、モデルによって答えが分かれました。GFS(左下)は、九州の南から本州の上を通って東北へのびる雨の帯を出しています。ICON(右下)も、太平洋側の沿岸に雨の帯がかかっています。ところが ECMWF(左上)と AIFS(右上)は、雨の帯が本州の南の海の上にあって、陸の上はほとんど雨のない計算です。
こういう日は、まだどちらに転ぶか分からない日です。どれか1つのモデルを信じて「12日は晴れ」「12日は雨」と決めるより、「雨の帯が北に寄れば雨、南の海なら晴れ」と、両方の可能性を考えておくのがいいでしょう。計算は1日に2〜4回新しくなります。次の回で、GFS がほかのモデルに寄るのか、ほかのモデルが GFS に寄ってくるのか。そこを見ていくのも、モデル比較の楽しみ方です。
見比べるときの目安
- モデルがそろっているときは、その見通しは比較的確かです。
- モデルごとに分かれているときは、まだどちらに転ぶか分かりません。3日より先や、台風・発達する低気圧のときは、分かれることがよくあります。
- 1つのモデルだけが違うときは、次の回の計算で、ほかに寄ることも、ほかが寄ってくることもあります。
- 「どのモデルがいちばん当たるか」は、場面によって変わります。1つを信じるより、そろい方を見るのが使い方です。
台風のときは、台風の進路のページで、ECMWF・GFS の計算と気象庁の予報をくらべられます。ECMWF の台風の見方はこちらの記事に。
決めるときは、気象庁の予報で
モデル比較のページは、数値予報モデルの計算を、そのまま天気図にしたものです。気象庁の予報や、当サイトの予報ではありません。気象庁の予報は、こうしたモデルの計算に、観測や予報官の判断を加えて作られています。予定を決めるときや、防災の判断には、気象庁の予報・警報を確かめてください。
行き先ごとの、気象庁の予報とモデルの雨の計算をまとめて見たいときは、2週間の雨と気温や、旅行なら観光地の天気の記事も使ってみてください。
まとめ:1つを信じるより、そろい方を見る
- 天気予報は、数値予報モデルの計算がもと。モデルごとに、少しずつ答えが違う。
- 先の日ほど、モデルの答えは分かれやすい。
- 5つのモデルを同じ時刻で並べて、そろっていれば比較的確か、分かれていればまだ分からないと読む。
- 決めるときは、気象庁の予報・警報で。
ECMWF・AI モデル AIFS・GFS・ICON・GEM の天気図を並べて見られる世界の天気予報モデルを比較を、ぜひ一度開いてみてください。いつもの天気予報の「裏側」が、少し見えるようになるはずです。



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