天気予報がよく外れる理由
天気予報は当たらない。100%当たる天気予報は無い。
「天気予報が外れた!」
よく聞く話です。信頼できるサイトはどれ?
まぁ、多少の差はありますが、大きな差ではないと思います。
全国の天気予報ランキングで調査をしましたが、どこの会社も100%ではありません。
日食や潮汐については、何十年も前から分単位で正確に予想できますが、天気予報は100%になりません。なぜでしょう。
理由は様々あるので1つ1つ見ていきましょう。
スーパーコンピューターの計算結果が外れている
これは週間天気などによくあることです。
現在の天気予報は、スーパーコンピューターの計算結果がもとになっています。
物理法則み従った計算です。
というと、かなり正確に聞こえますが、実はそうおでもありません。
スーパーコンピューターが大気の状態を計算する時は、地球上大気をメッシュ状に分割して計算します。その経験は世界でトップのECMWFでも10㎞より少し小さいぐらい。日本だとどれぐらい先の話かによりますが20㎞メッシュにして計算しています。しかも、その状態を数秒~十秒刻みで計算します。そういった細かいことは「気象庁の数値予報についての資料」に書かれています。
でも、こういった資料を読むほどに計算には現実と違う近似的な計算がされていることがわかります。大気の水平方向の計算は正確だが鉛直方向の計算は近似的だとか、極側の計算が近似的だとか、雲の生成過程が近似的だとか。そもそも、大気ってこんな四角形のキューブ状じゃないとか。
そういった、積もり積もった計算の近似が誤差を生んで、誤差の積み重ねが正確ではない天気予報につながります。
でも、考えてみたら仕方ないんです。だって、地球全体の気温や湿度なんて誰も測っていないんだから。
天体の運動や、潮汐の運動は意外とシンプルな計算です。
物理では日食は2体問題(を2つ重ねたようなもの)として解析的に解けています。
方程式で解けると言いかえられます。
満潮や干潮も同様です。
式によってかなりの精度で計算できます。
ところが、天気予報の場合、その式がかなり複雑に絡まっている状態です。
大気の状態だけでも3次元の風+湿度+気温と5つの式が必要ですが、雲が雨を降らせたり、氷になっていたり、そのせいで太陽光の影響が変わったり、そもそも地球上で人間が活動していたりでとても正確に計算は出来ない状態です。
なるべく誤差が少ないように計算はしていますが、日々工夫をしていまが、それでも雨雲の発生位置の計算が不正確で天気予報は外れてしまいます。
これが代表的な天気予報の外れる理由です。
コロナの影響で天気予報が外れるようになった?
ちょっとだけ話題になったこともありますが、コロナの影響は天気予報にも確かに影響を及ぼします。
なんで?
と思うでしょうが。
ちょっと前に説明しましたが、天気予報はスーパーコンピューターの計算結果がもとになっています。その計算をする元のデータは観測データです。
地上のデータは簡単に測れますが、上空のデータは簡単に測れません。
あなたの上空の気温、しかも1㎞ごとに・・・なんていわれても測れないですよね?
計算にあたり、上空の気温は不足気味です。
なので、数値予報の計算には航空機の観測する気温や湿度のデータが使われています。
飛行機の観測する気温が天気予報に活用されているんです!
さて、話はかわって、下のグラフは海外旅行者の数です。
国土交通省のページから持ってきました。
コロナの影響で激減ですね。
コロナの影響で航空機は半分以下になっています。
時期にもよりますが、8割減など。
飛行機が飛ばないと上空の気温のデータも減ってしまいます。
データがないと正確に計算が出来ません。
天気予報の精度も下がってしまうという訳です。
コロナの影響、こんなところにもあるんですね。
ただ、個人的な感覚ですが目に見えて精度が落ちているようには感じません。
トータルすると少し精度は落ちるかもしれませんが、まだ、誤差のうちでしょうか。
天気予報の精度検証でも、コロナの影響を受けたであろう1月や2月はそれほど精度は落ちていませんので。
スーパーコンピューターの計算結果が、各国バラバラの時は天気予報が外れる頃が多い
天気予報の素になるスーパーコンピューターの計算ですが、世界各国、自国で計算しています。
各国の計算結果が一致していればほとんどその通りに天気は経過します。
でも、ヨーロッパの数値予報モデルでは低気圧による雨雲はかからないけど、日本のモデルの予想だと雨が降る・・・なんて時があります。
微妙なんですよね。気象状態が。
「ちょっとの差が、時間の経過によって大きな差になる」という意味でバタフライ現象というものがあります。
ちょっとぐらい差があっても変わらないときがほとんどですが、たまに、こういう状況が発生します。
今の上空のジェット気流の流れに乗れば低気圧が発達するけど・・・・微妙に間に合わない・・・みたいな時です。
日本より進んでいる海外気象予報モデルの方が上手に計算することが多いですが、逆に日本の数値予報モデルが正確なこともあります。
どっちが正しいかわからないので結局は2択問題。
こういう時は民間の気象会社の天気予報もバラバラで外れやすくなります。
そもそも、どう予報を出しても外れる日がある
天気予報は必ず外れます。例えば下の図。1時間のうちに実際降った雨の量です。
これ、雨ですか?曇りですか?
同じ町でも、天気が違うというのは、よくあることです。
Yahoo!に、「みんなで実況!今の天気」というサービスがあります。
同じ地域の人が今の天気をみんなで報告するのですが、ほとんどの場合、「皆が同じ天気」になりません。
「晴れ」と「曇り」は人によって感じ方が違うし、上の図みたいに「自分の頭の上では雨が降った」という人もいれば「自分の頭の上には雨が降っていない」という人もいます。たまたま、雨の降っていた時に屋内にいる人もいるし、雨の強弱などは5㎞違えばまったく別。30㎜って天気予報に書いてあったけど、全然降らない!とうい話もよく聞きますがそれはそう。30㎜の雨雲の下にいた人は降ったと感じるし、そうでない人は雨が弱かったとか雨が降らなかったと感じるんです。
上の例と同じ時間の東京の雨の様子です。
さぁ、東京23区の天気はどうでしょう?北と南で全然違います。
これは、どう予報しても、半分あたり、半分外れですね?
ちなみに50%で予報すると天気予報は傘マークの雨・・・。
当番に23区の南側では外れでしょうか。市町村毎の1時間毎の天気予報、どう出せば正解なのか・・・。
多分正解はないでしょう。
天気は人によって、場所によって捉え方が違うんです!
だから、天気予報に100%の正解はないのです!!!
まぁ、100%正解のある日もありますがね。
そんな時はだいたい天気予報は当たっています。
天気予報は外れるので雨雲レーダーを活用!
天気予報の一番の問題はすれ違いだと思います。
出し手と、受けての感じ方の違い。
ウェザーニューズの予報を細かく見ていると、予報に傘マークは無くても「折りたたみ傘がると安心」などとアドバイスしています。
でも、曇のマークだけの天気予報で雨が降ったら外れたと思いますよね?
気象協会の人が解説しているラジオを聞くと天気のマークでは表現できないことを教えてくれます。
「曇りの予想ですが、日のさす時間もあるでしょう」など。
細かな補足をしてくれます。
大体の天気予報は、ほとんど出し手のイメージ通りに経過しているように私は感じています。
雨の予報で雨が降らない日、気象レーダーでは周辺に雨雲が写っていたりします。
場所やタイミングはよくずれますが、おおよそのイメージ通りの天気予報にはなっています。
でも、そんのこと一般人にはわかりません。
だから、雨雲レーダーを見て実際の天気を確認しましょう!
雨雲レーダーを見れば近くに雨雲があることもわかります。
「あっ、近くに雨が迫ってるなぁ~」とかわかるでしょう?
雨雲の予想も活用しましょう!
私が本当に勧めたいのは、一緒に天気の予想資料を見よう!
ということです。
難しいんじゃないの?
いえいえ、誰にでもできます。
20年前なら話は違います。しかし、インターネットの発達した現代、誰でも天気予報の資料を見ることができます。
パソコンの方はGPV気象予報(http://weather-gpv.info/)
が良いでしょう。
イメージを持てば、天気予報の見方が変わります。
貴方はこれから先、何年天気予報を見ますか?一度、「天気予報の資料」に慣れてしまえば、一生使える技術となって生活をサポートしてくれます。100%当たる天気予報を探すという無理難題よりよっぽど簡単で、意味のあることです。暑い日、寒い日、風が強い日、もしかしたら傘が必要かもしれない日。なんでもわかります。
これらのサイトの解説、資料の見方、いろいろと説明したいことはあります。
まずはだれでも5分でできる天気図の見方を参考にしてもらえればと思います。
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